心だけの絶頂は実際に血中ホルモンの変化をともなう本物だった
サラの言葉は本当なのか、そして本当だとして通常の絶頂と同じなのか?
答えを探るため、研究者たちはサラに実際に心だけの絶頂を行ってもらい、血中に含まれるホルモン濃度を測定しました。
人間は絶頂を迎えると脳下垂体からプロクラチンというホルモンが分泌され、急速に性欲を失うことが知られています。
この現象は俗に「賢者タイム(正式には性交後憂鬱)」の訪れとして知られており、性交後の冷静な判断力の回復をサポートするものですが、不安や自己嫌悪を感じる人も存在します。
つまり、もしサラが本当に絶頂を迎えている場合、賢者タイムの訪れをプロクラチン濃度を測定することで客観的に調べることが可能となるのです。
研究者たちはサラに対して5分間の連続絶頂、10分間の連続絶頂を心だけで行ってもらい、血中のプロクラチン濃度を測定しました。
結果、サラは心だけの絶頂によって、確かにプロクラチン濃度が上昇していることが判明します。
心だけを使った5分の連続絶頂ではプロクラチンが25%増加し、10分の連続絶頂では倍近い48%の増加が確認されました。
また血中のプロクラチン濃度は、サラ本人による物理刺激(自慰)による絶頂と同じパターンを形成することが判明します。
この結果は、生理学的なレベルにおいても、心だけの絶頂は物理的刺激による絶頂と同じであることを示します。
一方、心理面での違いをサラの主観で述べてもらったところ、物理的刺激がある絶頂(自慰)のほうが「感情的な親密さ」や「一体感」を多く感じているとの答えが得られました。
自分の性感帯を物理的に刺激する場合にうまれる触覚には、より高レベルの感覚(愛情や親密さや一体感)を発生させる可能性があるようです。
心だけでいつでもどこでも望むだけ絶頂を感じられるサラの能力に、憧れを感じる人は少なくないでしょう。
しかしサラにはそうせざるを得なかった悲しい事情があったのです。