ギリシアの哲人から生まれた「錬金術」
化学の第一歩は、古代ギリシャの哲学者たちから始まっています。
「万学の祖」と言われるアリストテレスは、あらゆる物質が「火・水・土・空気」の4つの元素からできていると考えました。
そして、硬いとか柔らかいといった物質の性質は、4元素の比率で決まるというのです。
意外にも彼の考えは広く浸透し、多くの信奉者が生まれました。
その後、アリストテレスはBC322年に亡くなりました。
彼が家庭教師をつとめたアレキサンダー大王がエジプトを征服し、アレキサンドリアを新たな首都にしてから9年後のことです。
その地では、アリストテレスの信奉者たちが職人として冶金をするようになりました。
彼らは自分たちの技術を「金属を鋳(い)って混ぜ合わせる」という意味から、「キメイア」と呼ぶようになります。
キメイアは一度イスラム世界に受け継がれたあと、中世ヨーロッパに伝わるのですが、魔術師たちがそれを「アルケミー(錬金術)」と呼んだことで、何やら魔術めいたものになりました。
アルケミスト(錬金術師)たちが何より追い求めた物質は「賢者の石」です。
賢者の石は、卑金属を金・銀に変え、不治の病をなおし、不老不死を手に入れられるとかたく信じられました。
しかし、錬金術を「化学」と呼ぶにはほど遠いものでした。
これがどのように化学へと変わっていったのでしょうか?