ガソリンを「いい匂い」に感じさせる原因とは?
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の発表によると、ガソリンは150種以上の化合物を組み合わせた複雑な混合物であり、その多くは私たちの健康にとって有害であるといいます。
その中で、ガソリンに強いガス臭を与え、それによって一部の人を魅了しているのが「ベンゼン(benzene)」です。
ベンゼンは、芳香族炭化水素の一種であり、引火性が高く、甘い芳香を持っています。
その甘い香りから、19世紀初めには、アフターシェーブや香水の成分としても使われていました。
ところが、ベンゼンに中毒性や発がん性があることが発覚し、これらの用途はすべて廃止されています。
ベンゼンを吸い込むと、あらゆる臓器(とくに肺)にダメージを与え、深刻な肺炎を引き起こすことがわかっています。
ということは、ガソリンスタンドで積極的に匂いを嗅ぐのは、危険なのではないでしょうか?
しかし、これについては心配いりません。
というのも、ガソリンに含まれる化合物はすべて、人体に無害な濃度でコントロールされているからです。
とくに、ベンゼンの含有量はきわめて少なく、ガソリン全体の1%も満たしません。
それでも、ベンゼンは非常に強烈な刺激臭を持っているため、わずかな量でも、私たちの鼻で嗅ぎわけることができます。
また、空気中で急速に蒸発するので、拡散も速く、私たちの鼻に届きやすいのです。
それでは、同じように甘い香りを放つ物質がたくさんある中で、ベンゼンの匂いに惹かれる人が多いのは、なぜでしょうか?