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Credit: canva
health

2才まで「ある食べ物」を制限すると、成人後の心疾患リスクが低下

2025.10.24 07:00:21 Friday

私たちは健康のために「大人になってからの食生活」を意識しがちですが、実は人生最初の数年間に口にするものが、将来の健康の運命を大きく左右しているかもしれません。

香港科技大学(HKUST)や豪モナシュ大学(Monash University)らの最新研究から、幼少期の糖分制限が、将来の心疾患リスクを大幅に減少させることが明らかになりました。

「赤ちゃん時代の食卓」が、思った以上に“未来の心臓”を守っていたのです。

研究の詳細は2025年10月22日付で医学雑誌『The BMJ』に掲載されています。

Early life sugar restriction linked to lasting heart benefits in adulthood https://medicalxpress.com/news/2025-10-early-life-sugar-restriction-linked.html
Exposure to sugar rationing in first 1000 days after conception and long term cardiovascular outcomes: natural experiment study https://doi.org/10.1136/bmj-2024-083890

幼少期の糖分制限による健康効果

第二次世界大戦後のイギリスでは、物資不足を背景に食品ごとに配給制度が敷かれていました。

砂糖も例外ではなく、1953年まで大人も子どもも、1日あたり40グラム以下に制限されていました。

2歳未満の乳児には、添加糖が一切与えられませんでした。

これは偶然にも、現代の食事ガイドラインが推奨する「幼少期の砂糖制限」とほぼ同じレベルの厳格なルールです。

今回の研究では、配給制度の終了(1953年9月)を「自然実験」として活用しました。

イギリス国内で1951年10月~1956年3月に生まれた約6万人を対象に、心疾患の発症率や発症年齢を追跡調査。

生まれた時期によって「母親の胎内~2歳頃まで砂糖制限を受けていたグループ」「配給解除後に生まれ、制限を受けていないグループ」を比較しました。

結果、幼少期に砂糖制限があった人ほど、成人後の心疾患リスクが大幅に低下することが判明しました。

特に「胎内~2歳まで」制限を受けていたグループでは、心筋梗塞(心臓発作)や心不全、脳卒中、心房細動(不整脈)、心血管死亡といったリスクが20~30%も低くなっていました。

また、これらの疾患の発症時期も、最大で2年半ほど遅くなる傾向が見られたのです。

研究者らは、配給制度の影響を受けていない他国生まれの人々とも比較し、生活環境や遺伝的な要因、生活習慣なども調整した上でデータを解析しました。

その結果、幼少期の糖分制限と将来の心臓の健康との関連が、非常に高い信頼性で裏付けられました。

次ページなぜ「最初の1000日」が重要なのか?

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