「冬のレム睡眠」は夏場より30分長くなっていた
季節ごとの行動変化は、地球上のあらゆる生物に見られるものです。
その最たる例が「冬眠」で、クマやヘビ、昆虫の多くは餌の確保が難しく、気温も低い冬になると、エネルギー消費を抑えるために冬眠をします。
私たち人間も冬眠とまではいわずとも、こうした季節性の変化が存在するのではないかと指摘されていました。
たとえば、被験者に睡眠状況を自己報告してもらう先行研究では、夏より冬に睡眠時間が長くなることが示されています。
しかし、季節が睡眠に与える影響を正確に把握するためには、客観的な測定が必要です。
そこで研究チームは今回、ベルリンにある聖ヘドウィグ病院(St. Hedwig Hospital)にて、何らかの睡眠問題を抱えている患者292名を対象とした「睡眠ポリグラフ検査(PSG)」を実施。
具体的には、患者に目覚まし時計なしで自然に寝て自然に起きてもらい、その間の脳波や心拍数、眼球運動、睡眠の質などをモニタリングします。
検査は1年を通して定期的に行われ、それにより月や季節ごとの詳細な睡眠データが取得されました。
この研究では最終的に、睡眠に影響を与える薬を服用していた患者、技術的に正確な検査ができなかった患者を除いた188名のデータが分析されました。
その結果、季節にともなう微妙ではあるが顕著な変化が発見されました。
まず、睡眠の総時間は夏より冬(日が短くなる12月〜2月)の方が1時間ほど長いように見えましたが、有意な差ではありませんでした。
しかし、レム睡眠の時間は夏より冬の方が明確に30分ほど長くなっていたのです。また、春先では秋よりも約25分長くなっていました。
この結果は、一体どういう事実を示しているのでしょうか?