南米最大級の海底渓谷で探査!

今回の探査を主導したのは、シュミット海洋研究所(Schmidt Ocean Institute)です。
アルゼンチンの科学者チームが調査船「R/V Falkor (too)」に乗り込み、遠隔操作無人潜水機(ROV)「SuBastian」を用いて21日間にわたり調査を実施しました。
調査の舞台となったマル・デル・プラタ海底渓谷は、アルゼンチン中東部ブエノスアイレス州の港湾都市マル・デル・プラタ市の沖合300キロに位置し、深さは3500メートル以上に達します。
これはグランドキャニオンの約2倍に相当し、富士山(3,776 m)の大部分を収めるほどの深さで、南米最大級の海底渓谷のひとつです。
この地域は2012年と2013年に網やトロールを使った調査が行われていましたが、直接海底を目で観察することはできませんでした。
今回初めてROVが投入され、高精細カメラと採取装置を駆使して、深海の生態系がリアルタイムで記録されました。
科学チームを率いたのは、CONICET(アルゼンチン国立科学技術研究会議)およびアルゼンチン国立自然科学博物館に所属するダニエル・ラウレッタ博士です。
博士は「この探査は一生に一度の経験であり、10年来の仲間と成果を共有できたことを光栄に思う」と語り、ROVによる映像品質の高さが、複雑な深海環境の理解に大きく役立っていると強調しました。