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Credit: Schmidt Ocean Institute(2025)
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新たな深海探査で「新種候補40種」を発見、アルゼンチン沖 (2/2)

2025.08.18 12:00:56 Monday

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発見された驚きの生物たち

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「パタゴニアロブスター(Thymops birsteini)」と見られるピンク色のロブスター/ Credit: Schmidt Ocean Institute(2025)

探査によって確認された生物群は驚くべきものでした。

水深1014メートルの深さでは、バセリア・カンディダ(Bathelia candida)という石灰質サンゴが作る深海サンゴ礁が発見されました。

さらに1500メートル地点では、アントマスタス属(Anthomastus sp.)の柔らかいサンゴが一面に広がっていました。

またROVのカメラは、光を放つイカ、バービー人形を思わせる鮮やかなピンク色のロブスター、そして人気アニメ「スポンジ・ボブ」のキャラクター「パトリック・スター」に似たヒトデの姿まで捉えました。

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水深888mで見つかったクラゲダコ/ Credit: Schmidt Ocean Institute(2025)

科学者たちは、イソギンチャク、ナマコ、ウニ、巻き貝、サンゴ、ウミユリなどを含む40種以上の新種候補が見つかった可能性があるとしています。

ただし、新種であることを正式に確認するには既知種との比較が必要で、今後の研究に委ねられます。

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水深1250mで見つかったクダクラゲの一種/ Credit: Schmidt Ocean Institute(2025)

さらに、この探査は科学的成果にとどまらず、社会的にも大きな反響を呼びました。

ROVの潜航はすべてYouTubeやTwitchで生配信され、3週間で累計1750万回以上の視聴を記録しました。

とくにアルゼンチン国内からの視聴者が全体の約4分の3を占め、家庭や学校、スーパー、ジムといったあらゆる場所から人々が深海の映像に見入ったのです。

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水深2412mで見つかったハダカイワシ科の一種/ Credit: Schmidt Ocean Institute(2025)

「深海の命の驚異は、情熱的な科学者と数百万人の視聴者によって国全体を魅了した」と、研究所共同設立者のウェンディ・シュミット氏は述べています。

また、配信を見た子どもたちが「将来は海洋生物学者になりたい」と夢を語るなど、科学教育への影響も生まれました。

一方で、ROVの映像には人間活動の痕跡も映っていました。

靴やビニール袋、漁具などのごみが確認され、深海であっても環境汚染が及んでいる現実が明らかになったのです。

研究チームは、このデータが今後の海洋資源管理や保全計画に貴重な基盤を提供するとしています。

深海探査のダイジェスト映像はこちら。

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