ADHD症状は「運動」で改善する?
ADHDは、注意の持続が難しい、衝動的な行動をとる、多動がみられるといった症状を特徴とする神経発達障害です。
通常、学齢期の初期に診断されることが多く、ADHDの子どもたちはその症状によって学校の規則と衝突し、周りに馴染めないなどの苦痛に直面しやすくなります。
またADHDは成人後でも診断されることがあります。
大人のADHDでは不注意の特徴が強くなり、「気が散りやすい」「計画的に行動するのが苦手」「忘れ物やケアレスミスが多い」といった困難を抱えることが多いです。
そのため、職場でのパフォーマンスが低下することもあります。
これまで、ADHDの治療は薬物療法や専門家による心理療法が一般的となっています。しかし薬には副作用のリスクがありますし、心理療法には通院の手間やコストがかかります。
そこで薬の副作用やコストのかからない新たな治療アプローチが模索されていますが、そんな中、近年では「運動がADHDの症状改善に役立つのでは?」という仮説が注目されています。
過去の研究でも、運動が脳のドーパミンやノルアドレナリンの分泌を促し、集中力を高める可能性があると報告されてきました。
では運動はADHDの人の認知機能も高めてくれるのでしょうか?
そこでNTUの研究チームはADHDの成人と健康な成人を対象に、30分間の有酸素運動で認知機能が改善するかどうかを検証しました。