常識を覆した「2度目の閃光」
2022年、テルアビブ大学を中心とする研究チームが、ある銀河の中心から強い閃光を捉えました。
その光は、超大質量ブラックホールに恒星が引き裂かれたときに生じる現象「潮汐破壊(ちょうせきはかい)」に極めてよく似ていました。
これ自体はそれほど珍しいことではなく、過去にも似たような現象は何度も観測されています。
恒星がブラックホールに接近しすぎたとき、強烈な重力によって破壊され、そのガスがブラックホールへと渦巻きながら落ち込む過程で、明るい光が一時的に放たれるのです。

ところが、さらに驚くべきことが起こります。
それからちょうど約700日後、まったく同じ場所から、またしても同じような閃光が放たれたのです。
これは偶然ではありませんでした。
2回目の光の性質は、最初のフレアとほぼ一致しており、明らかに同じ天体によるものだと確認されたのです。
チームは当初、「まさか2つの星が同時に似た運命をたどったのでは?」と疑いました。
しかし解析の結果、これは同じ恒星が2回にわたってブラックホールに接近し、2度破壊されかけたという、極めて異例の現象であることが示されました。