地球上のすべてが吹き飛ぶ!
大前提として、「地球の自転スピードはとても速い」ことを念頭におかなければなりません。
北極や南極などの極地では自転による移動速度がほぼゼロになりますが、赤道上は時速約1700キロメートルの猛スピードで回転しています。
そのため地表には、人や動植物、自動車、ビルなどあらゆるものが、地球という乗り物にのって同じ速度で回転しているのです。
色んなものが乗った地球の自転を急停止させるということは、いわば、混雑したバスを急停車させるようなものです。
このときどんな惨事が起きるかは容易に想像できると思いますが、乗客は慣性の法則によって、進行方向に吹っ飛ばされます。
地球も同じです。
自転が急停止すると、人や動植物のみならず、水や岩、そして大気までもが吹っ飛んでしまいます。
そのときの速度は、自転と同じ時速約1700キロメートルです。
その時点でおそらく、ほとんどの人は何が起こったのか気づく暇もなく、死んでしまうでしょう。
また、極地にいて難を逃れた人でも、恐ろしい強風や津波に襲われてしまうので、逃げ切るのはほぼ不可能です。
たどり着く最終的な姿とは?
自転が停止すると昼夜の交代もなくなり、地球の片側は常に明るく、裏側は暗い状態となります。
加えて、地磁気によるシールドも消失するため、宇宙空間から降り注ぐ放射線や太陽風によって、地球上のあらゆる生命が深刻な被害を受けます。
そして、吹き飛んだ物体は弾道弾のような形で離れた地表に衝突して地面を砕き、破片となった残骸が宇宙空間まで吹き飛ばされるでしょう。
ジンベルマン氏によると、地球とその残骸が太陽の周りを回り続けるうちに安定し、やがて地球は自転を取り戻すという。
また、一旦は地球から離れた残骸も、やがては予期せぬ地球重力の影響によってふたたび地表に引き戻され、落下を開始すると考えられます。
無数に落下してきた残骸のエネルギーは、地殻を溶かすほどの熱を起こし、地球はやがて「溶岩の海」のようになります。
最終的に、地球の周りにあった残骸の大部分は、溶岩の海に再吸収され、そのエネルギーで地表の水分は蒸発してしまうという。
気化した水の大部分は失われますが、一部はカンラン石のような新たにできた鉱物に取り込まれる可能性があるでしょう。
また、飛び散った残骸の一部は、地球に戻ってくることなく、月の引力に捕まり、月に新しい無数のクレーターを作るかもしれません。
もちろん、これらは物理法則に則った大雑把な思考実験であり、実際に起きることは、地球を急停止させてみなければ分かりません。
そもそも、地球を急停止させるような力が働くことは現実の世界では考えにくい事態です。
起こるとすれば、そこにはスーパーマンやスーパーロボットの介入が必要になるでしょう。