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模擬「月の土」からひよこ豆を採取 / Credit:Jessica Atkin(A&M)et al., Scientific Reports(2026), CC BY 4.0
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「月の土」模擬物質で栽培したひよこ豆の採取に成功

2026.03.10 11:30:18 Tuesday

もし将来、人が月で生活することがあるなら、そこでは何を食べるのでしょうか。

アメリカのテキサスA&M大学(A&M)の研究チームは、月の土を模した物質を使ってヒヨコマメを育て、収穫可能な種子を得ることに成功しました。

研究の焦点は、ただ作物を育てることではなく、月の土を植物が育つ土壌へ近づけられるかを確かめることにありました。

研究成果は2026年3月5日、科学誌『Scientific Reports』に掲載されています。

Chickpeas Grown in Simulated Moon Dirt Produced Viable Seeds With a Fungal Assist https://www.zmescience.com/space/chickpeas-grown-in-simulated-moon-dirt-produced-viable-seeds-with-a-fungal-assist/ Scientists successfully harvest chickpeas from “moon dirt” https://www.eurekalert.org/news-releases/1118340
Bioremediation of lunar regolith simulant through mycorrhizal fungi and plant symbioses enables chickpea to seed https://doi.org/10.1038/s41598-026-35759-0

「月の土」模擬物質からヒヨコマメの種子を採取

の表面を覆う細かな粉は「レゴリス」と呼ばれています。

見た目は土のようですが、地球の土壌とはかなり違います。

地球の土には有機物があり、微生物がいて、植物の根のまわりでは栄養が循環しています。

しかし月のレゴリスには、そうした生物の働きがほとんどありません。

しかもレゴリスの粒子は鋭く、をうまく保ちにくいという性質があります。

植物に必要なリンやカリウム、カルシウム、鉄などの元素は含まれているものの、多くは植物がすぐ使える形ではなく、窒素も乏しいため、そのままでは土壌として十分に機能しません。

また植物にとって有毒な可能性のある重金属も含まれています。

そこで研究チームは、レゴリスに足りないものを生物の力で補う方法を試しました。

使ったのは、月の土壌を再現した高精度の模擬物質「LHS-1」、ミミズ堆肥、アーバスキュラー根菌(AMF)です。

ミミズ堆肥は、ミミズが有機物を分解して作る肥料で、栄養だけでなく微生物も含んでいます。

月面基地では、食べ残しや綿製品、衛生用品などの廃棄物を再利用して、こうした材料を作る構想も考えられています。

さらに研究チームは、ヒヨコマメの種子にAMFを接種しました。

これは植物の根と共生する菌類で、根が届きにくい場所からも水や栄養を取り込みやすくし、重金属の影響をやわらげる働きが期待されています。

研究では、模擬レゴリスとミミズ堆肥を25%、50%、75%、100%の割合で組み合わせ、菌を入れた場合と入れない場合を比べました。

その結果、ヒヨコマメはすべての条件で発芽しましたが、レゴリスを含む混合土壌で花を咲かせ、種子を作るところまで進んだのは、菌根菌がある場合だけでした。

しかも、レゴリスの割合が75%までなら、実際に収穫できる種子が得られました。(※画像はこちら)

より詳しい結果は、次で見ていきましょう。

次ページ菌が月の土を少しずつ「土壌化」していた

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