「ファン」と「ストーカー」の違いはどこにある?
ストーカーとは、特定の人につきまとい、脅迫したり、何らかの危害を加える人物と定義されます。
ストーカーによる被害は多くの人が想定しているよりもずっと一般的で、アメリカでは年間に約170万人がストーカー被害を受けているといいます。
中でも有名人は狂信的なファンによるストーカー行為にさらされやすく、それが行き過ぎると傷害や殺人事件につながりかねません。
(1980年に起きたジョン・レノンの殺害はその最たる例とされています)
そこで研究チームは2023年に、熱心なファンとストーカーの違いがどこにあるかを探るべく、アメリカの大学生596人を対象としたアンケート調査を実施することにしました。
アンケートのいくつかは先行研究で開発されたもので、有名人に対する人々の態度や行動を測定するものです。
この研究で使用された「Obnoxious Fan Activities Scale-18 (OFAS-18)」は60項目のファン行動リストの中から、サインを求める・ファンクラブに入会するといった「正常なファン活動」や、有名人に対する書き込みをするなど内容によって安全と危険が分かれる曖昧な行動などを除外した、18の危険で迷惑な行動を抜き出し評価します。
この危険な行動は、有名人を付け回す・脅迫する・自宅に侵入するといった「ストーキング行為」を指します。

すべての項目には、次のような質問形式が付されています。
「16歳以降、以下のような行為をしたことがありますか? 回答は、1:全くない〜5:頻繁にある」
質問の例としては「公共の場で有名人の後をつけたことがあるか」「有名人の宿泊先まで行き、出待ちをしたことがあるか」「有名人に性的関心を抱いたことがあるか」「有名人の敷地内に侵入したことがあるか」などです。
これらの質問で高スコアを示す人ほど、有名人へのストーカー行為に及ぶ可能性が高いと評価されます。
また他の調査項目では、対象者の怒りやすさ、スリルの追求度、人間関係への愛着の度合い、性格特性など、ストーカー行為に関連すると予想される因子を測定しました。