軽ダンベルで筋肥大――最新研究で重さ神話崩壊
軽ダンベルで筋肥大――最新研究で重さ神話崩壊 / Credit:Canva
sports

軽ダンベルで筋肥大――最新研究で重さ神話崩壊

2025.06.09 22:00:09 Monday

ノルウェーのノルウェー体育科学大学(NIH)で行われた研究によって、一部の筋肉トレーニングでは、軽いダンベルでも「もう無理!」と思うところまで頑張れば、重いバーベルを使った場合とほぼ同じくらい筋肉が太くなることがわかりました。

これは筋肉を大きくするのに必ずしも“重いバーベル”が絶対条件ではないことを示す研究結果であり、重い重量に尻込みしていた人や器具を持たない人にとって朗報と言えるでしょう。

まさに「筋肉を太くする方法は一つじゃない」ことを裏付ける発見です。

新たな研究成果は私たちの日常トレーニングをどのように変えるのでしょうか?

研究内容の詳細は2025年05月01日に『bioRxiv』にて発表されました。

Comparable Strength and Hypertrophic Adaptations to Low-Load and High-Load Resistance Exercise Training in Trained Individuals: Many Roads Lead to Rome https://doi.org/10.1101/2025.04.28.650925

筋トレ界のパラダイムシフト

なぜ今、ライトウェイトを検証するのか
なぜ今、ライトウェイトを検証するのか / Credit:Canva

骨格筋(いわゆる筋肉)は体重の約3~4割を占めており、人体で最大の“臓器”とも言われます。

筋肉量や筋力を高めることはアスリートの競技力向上はもちろん、高齢者の健康維持にも重要です。

その筋肉を効率よく鍛えるにはどうすればよいのでしょうか。

従来、筋肥大(筋肉を太くすること)や筋力アップのためには高負荷のトレーニングが推奨されてきました。

例えばトレーニング科学の世界では「最大挙上重量(1RM)の70%以上の負荷を用いるべきだ」といった指針があります。

重い重量を扱えば筋肉に強い刺激が入り、筋線維が太くなって筋力も上がるという考えです。

一方で、近年の研究から「もっと軽い重さでも、限界まで回数をこなせば筋肥大効果は遜色ない」ことも報告され始めました。

実際、低重量・高回数のトレーニングでも筋肉を大きくできる可能性が示され、「筋肥大に至る道はいくつもある(Many roads lead to Rome)」という見方が登場しています。

しかしそれらの知見の多くは筋肉の太さ(筋肥大)に関するもので、筋力の向上については十分に検証されていませんでした。

また対象者も未経験者や若年者が中心で、普段からトレーニングを積んだ人で軽い負荷の効果を調べた例は限られていました。

そこで今回紹介する研究では、低負荷トレーニング(Light Load: LL)と高負荷トレーニング(High Load: HL)の効果を、経験豊富なトレーニー(訓練者)で直接比較することにしました。

筋肉のサイズだけでなく筋力や筋細胞の変化まで含めて包括的に調べ、「軽い負荷でも重い負荷と同等の適応が起こるのか」を検証することが目的です。

次ページ軽すぎて笑った? それ、筋肉つきます

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

スポーツのニュースsports news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!