細胞内に「未知の雪だるま」を発見?
細胞の中には、ミトコンドリア(エネルギーの発電所)やリソソーム(分解工場)など、さまざまな「細胞小器官」と呼ばれる装置が存在しています。
どれもそれぞれの役割を持ち、生命活動を支えています。
今回の発見は、そんな「おなじみの装置」たちの間に、もう一つ、専門家さえ知らなかった小器官がひっそりと存在していたという話です。
研究チームは、細胞の超詳細な構造を撮影できる「クライオ電子トモグラフィー(cryo-ET)」という特殊な技術を使って、ヒト由来の細胞を凍結状態で観察していました。
すると、ある特徴的な形をした構造が、頻繁に画像に現れてくるのに気づいたのです。
それが「ヘミフュソーム」でした。
実際の画像がこちら。

小さな小胞(袋のような構造)が、大きな小胞にくっつくように並び、その接合部には「半融合(ヘミフュージョン)」と呼ばれる特殊な膜の境界ができていました。
その見た目は、雪だるまがマフラーを巻いているような、丸が2つくっついた形。
しかも、この状態が一時的なものではなく、意外にも安定して長く存在していることがわかりました。
さらに興味深いのは、小さい小胞の中が「空っぽに見える」ことです。
他の細胞小器官は中に粒状の物質などを含んでいるのに、ヘミフュソームの小さい方は、なめらかで透明な“水っぽい空間”のように見えるのです。
さて、どんな仕事をしているのでしょうか?