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ChatGPT提案の食事メニューに従った男性、精神異常を起こして入院

2025.08.15 07:00:30 Friday

「塩をやめたいので、何か代わりになる食事メニューを教えて」

そんな思いつきから始めた“自己流の実験”が、思わぬ精神症状を招きました。

米ワシントン大学(UW)はこのほど、ChatGPTの助言を鵜呑みにして塩化物の代わりに臭化物を摂り続けたアメリカ在住の60歳男性が、被害妄想や幻覚で救急搬送されたと報じました。

診断は20世紀初頭には珍しくなかった「臭素中毒(ブロミズム)」だったとのこと。

研究の詳細は2025年8月5日付で科学雑誌『journal Annals of Internal Medicine: Clinical Cases』に掲載されています。

Man Hospitalized With Psychiatric Symptoms Following AI Advice https://www.sciencealert.com/man-hospitalized-with-psychiatric-symptoms-following-ai-advice Man Hospitalized After Taking ChatGPT’s Health Advice https://www.medpagetoday.com/emergencymedicine/emergencymedicine/116975
A Case of Bromism Influenced by Use of Artificial Intelligence https://doi.org/10.7326/aimcc.2024.1260

AIの一言から「珍しい中毒」へ

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60歳の男性は健康志向から塩分(塩化ナトリウム)を減らそうと考え、さらに一歩進めて「塩化物そのものを除く」方法をChatGPTに質問しました。

返ってきたのは「塩化物は臭化物で置き換え可能」という回答でした。

男性はネットで入手した臭化ナトリウムを“塩代わり”に3か月使用したといいます。

しかし、その食事メニューを続ける中で、男性に異変が起き始めます。

男性は「隣人が私に毒を盛ろうとしている」という強い被害妄想を抱き始め、幻聴・幻視が出現したので、病院を受診。

既往歴や服薬歴はなく、バイタルと身体診察はおおむね正常でしたが、検査では高クロール血症(Cl 126 mmol/L)、陰性アニオンギャップ(−21 mEq/L)、低リン酸血症、重炭酸塩上昇などが判明。

静脈血ガスは、代償性呼吸性アシドーシス+代謝性アルカローシスという所見でした。

入院初日から妄想が悪化したため精神科に強制入院となり、リスペリドンで加療。

中毒管理部門と相談のうえ、正常ナトリウムで陰性アニオンギャップを示す状況などから臭素中毒が最有力となりました。

のちに専用検査で血中臭化物 1700 mg/L(基準0.9〜7.3)を確認し、診断が確定しました。

治療は静脈内輸液と電解質補正が中心で、入院3週間の経過でクロール値とアニオンギャップは正常化。

精神症状も消失し、退院前にリスペリドンは漸減・中止、退院2週間後も安定していました。

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