超レア現象「バイセファリズム」の化石化
今回見つかった双頭の化石は、学術的には「バイセファリズム(bicephalism)」という、いわゆる“多頭性”の一例です。
バイセファリズムは、発生段階で胚の体軸が分かれてしまうことで、1匹の個体に2つの頭や首が生じる現象とされています。
現代でも、ごく稀に双頭のヘビやカメ、トカゲなどが生まれることが報告されていますが、ほとんどの場合、通常個体ほど長く生き残ることはできません。
しかし、化石記録において「双頭」の生物が見つかることは、さらに稀な奇跡です。
【実際の化石の画像がこちら】
そもそも化石になるには「ちょうどいい条件下で死ぬ」ことが求められ、保存状態も厳しく選ばれます。
例えば、死んだ直後に泥の中に飲み込まれて、低酸素状態に置かれ、微生物などによって分解されないことなど。
そのため、通常の姿ですら化石化は難しいのに、“発生異常”を持った個体が化石となり、現代まで残る確率は天文学的に低いといえるかもしれません。
論文では、この化石は「コリストデラ目(Choristodera)」と呼ばれる古代爬虫類の仲間の幼体で、肩のあたり(肩帯)で体軸が2つに分かれ、それぞれに首と頭がついていたことが詳細に記載されています。
胚か新生児段階の極めて小さい個体(体長7cmほど)だったため、大人になる前に命を落としたと考えられています。
化石は薄い堆積物に包まれ、骨の配置や堆積物の付き方から「人為的な改変や捏造」ではないことも慎重に検証されました。