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自己修復する繊維強化プラスチックを開発。イメージ / Credit:Canva
chemistry

数百年の維持が可能、「自己修復」材料を開発

2026.02.24 11:30:26 Tuesday

飛行機や自動車も、人間の皮膚のように自己修復できるなら、より長期間の使用が可能なはずです。

そんな発想を現実に近づける研究成果が、米国のノースカロライナ州立大学(NCSU)の研究チームによって報告されました。

研究者たちは、繊維強化プラスチックの複合材料に自己修復機能を組み込み、理論的には数百年にわたって使い続けられる可能性がある技術を開発したのです。

論文は2026年1月9日付の『Proceedings of the National Academy of Sciences』に掲載されました。

Self-healing composite could allow machines to last for centuries https://newatlas.com/materials/self-healing-fiber-reinforced-polymer/ Self-Healing Composite Can Make Airplane, Automobile and Spacecraft Components Last for Centuries https://news.ncsu.edu/2026/01/healing-composite-lasts-centuries/
Self-healing for the long haul: In situ automation delivers century-scale fracture recovery in structural composites https://doi.org/10.1073/pnas.2523447123

自己修復する「繊維強化プラスチック」を開発

航空機の翼や風力発電ブレード、自動車の構造部材などに使われているのが、繊維強化ポリマー(Fiber-Reinforced Polymer:FRP,繊維強化プラスチックとも呼ばれる)の複合材料です。

これはガラス繊維や炭素繊維といった強靭な繊維を、エポキシ樹脂などのポリマーで固めた層状構造を持ちます。

軽くて強いという特徴から、現代の構造材料の主役とも言える存在です。

しかし、この材料には昔からよく知られた弱点があります。

それが「層間剥離(そうかんはくり)」です。

層と層の間に亀裂が入り、繊維の層が樹脂から剥がれてしまう現象で、内部でこっそり進むため見つけにくく、進行すると一気に強度が落ちてしまいます。

この問題は1930年代から指摘されてきましたが、決定的な解決策はありませんでした。

そこで研究チームは、「壊れにくくする」だけでなく、「壊れても直せるようにする」という方向に発想を転換します。

彼らが導入したのは、材料内部で再び接着を起こす熱的再接着(thermal remending)の仕組みです。

具体的には、繊維層の間に熱可塑性の修復剤を3次元プリンターで配置しました。

この層は通常時には構造を補強し、層間剥離への耐性を2~4倍に高めます。

そして材料内部には炭素系の薄いヒーター層も埋め込まれており、電流で発熱し、修復剤を溶かします。

溶けた修復剤は亀裂内部へと流れ込み、ポリマー鎖が再び絡み合うことで界面を再接着します。

外部から接着剤を注入するのではなく、内部の分子構造が再び結び直されることで強度を回復するのです。

では、この自己修復機能によって、どれほど耐久性が向上するのでしょうか。

次ページ1000回の修復実証と「ゆっくり衰える」回復力

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