原子1個分の厚さしかないシート状の物質
原子1個分の厚さしかないシート状の物質として有名なのは、炭素原子のシートである「グラフェン(graphene)」でしょう。
私たちの身の回りに存在する一般的な物質は、無数の原子が積み重なってできています。
一方で、このグラフェンは、その原子の積み重ねが無く、原子1個分の厚みしかありません。
当然、グラフェンの厚さは1nmと極めて薄く、また透明です。
そしてグラフェンの特徴は、単に薄いだけではありません。
なんとダイヤモンドに匹敵する強度を持ち、電気の伝導率は銅の10倍とトップクラスなのです。
グラフェンのような原子1個分の厚さしかないシート状の物質は、「2次元物質」とも呼ばれており、上述の通り、よく見られる物質と同じ化学組成であっても、その性質は大きく異なります。
そのため、有用な性質を持つ物質を求め、様々な2次元物質の作成が試みられてきました。
実際これまでに、ケイ素の2次元物質「シリセン(Silicene)」、スズの2次元物質「スタネン(Stanene)」などが生成され、科学者たちの注目を集めてきました。
そして今回、柏屋氏ら研究チームが作成に成功したのが、金の原子1個分の厚さしかない2次元物質「Goldene」です。
このGoldeneは、今のところ、日本語で「ゴールデン」「ゴールディン」などと呼ばれています。
(本記事では、「ゴールディン」という呼び方で統一します)
では、このゴールディンはどのようにして作られたのでしょうか。