シャチから人間への「プレゼント」
この研究を行ったのは、カナダ、ニュージーランド、メキシコの国際研究チームです。
彼らは2004年から2024年の間に記録された、シャチが人間に獲物などを差し出す34件の事例を調査しました。
場所はカリフォルニア沖、ニュージーランド沿岸、ノルウェー、アルゼンチン沖など、世界各地の海にわたります。
差し出されたものは魚類やアシカ、クラゲ、海鳥、さらには海藻まで含まれており、18種にも及ぶバリエーションが確認されました。
しかもそのプレゼントの対象は水中にいるダイバーだけでなく、船上や岸辺にいる人にまで及んでいたのです。

注目すべきは、シャチたちが自発的に人間の前に獲物を持ち寄っていたこと。
人間側から近づいたり、餌付けをしたわけではありません。彼らは自ら接近し、目の前にそっと“贈り物”を落としていったのです。
しかも多くのケースでシャチはそのまま去らず、人間がどう反応するかをじっと観察していたといいます。
時には、受け取らなかった人間に対して、何度も繰り返して差し出す行動まで見られました。
これは偶然の産物ではなく、明確な意図をもった行動である可能性が高いと、研究チームは結論づけています。