ダイヤモンドは鉛筆の芯に変わる運命
ダイヤモンドの輝きは私たちにとって不変のように思えますが、実は静かに別の姿へと変わっていきます。
ダイヤモンドは炭素原子が強固に結びついた結晶構造を持っていますが、実はこの結びつきは時間の経過とともに少しずつほどけ、より安定した黒鉛の構造へと変わっています。
つまりダイヤモンドは、最終的に私たちが普段手にしている鉛筆の芯に変わってしまうのです。
そんなことになってしまうのは、「ダイヤモンドは地球の高温高圧環境で生まれたものであり、地表の環境ではその結晶構造が長期的に安定しにくい」ことに起因しています。

ダイヤモンドは炭素原子が三次元的にガッチリと結びついているのに対し、黒鉛は炭素原子が層状に結びついています。
この層状構造の方が、外部からの影響を受けにくく、より低いエネルギー状態にあるため、地表ではこちらの方が炭素の結合として安定しているのです。

ダイヤモンドは、地下数百キロメートルの超高圧・高温環境で形成されます。この高圧がダイヤモンドの特殊な構造を支えているのですが、地表に出るとその環境が失われ、構造を維持する力が次第に弱くなっていくのです。
もし家が火事になったらダイヤモンドはどうなるの?

こうしたダイヤモンドが黒鉛が同じ炭素という話を聞いて、浮かんでくるのがダイヤモンドって燃えるの? という疑問です。
炭素は通常、高温にさらされると酸素と結びついて、二酸化炭素(CO₂)に変わる性質があります。
だとするとダイヤモンドも燃えると予想されますが、ではもし家が火事になったらダイヤモンドはどうなってしまうのでしょうか?
ダイヤモンドの形成がそうであるように、炭素の変化には、温度と圧力が重要な影響を持っています。
もし高温高圧なら、ダイヤモンドの結晶構造を作りますが、低圧で高温の環境だと黒鉛に変わります。
ただ熱で黒鉛に変化するためには、酸素が不足した状態で1700~1900℃の高温にさらされる必要があります。
一般的な火災の温度は約800~1200℃で、通常は酸素がある環境下になるので、この状況だとダイヤモンドは黒鉛に変化する前に燃焼し、二酸化炭素(CO₂)になって消えてしまいます。
つまり家が火事になった場合、保管していたダイヤモンドは燃えてなくなってしまう可能性が高いのです。
そう考えると、ダイヤモンドは全然永遠じゃないという気がしますね。
しかし、ダイヤモンドと黒鉛は、なぜ同じ元素でありながら、なぜここまで見た目も手触りも違うのでしょうか?