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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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自閉症とADHDの「脳接続の違い」を発見!

2025.06.03 07:00:09 Tuesday

「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」は、ともによく知られた発達障害です。

どちらも行動や集中力、感情の制御に影響を及ぼし、学校生活や社会生活に困難をもたらします。

また両者は併存することも多く、たとえばASDの子どものうち50~70%がADHDの症状も示すとされています。

では、この2つの発達障害は、脳内の特徴においてどこが似ていて、どこが違うのでしょうか?

アメリカ国立衛生研究所(NIH)と英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)の共同研究チームが、1万人以上の脳を調べて、その答えを見つけ出しました。

研究の詳細は2025年5月19日付で科学雑誌『Nature Mental Health』に掲載されています。

Autism and ADHD have distinct brain connectivity signatures, study finds https://medicalxpress.com/news/2025-05-autism-adhd-distinct-brain-signatures.html
Cross-sectional mega-analysis of resting-state alterations associated with autism and attention-deficit/hyperactivity disorder in children and adolescents https://doi.org/10.1038/s44220-025-00431-5

ASDとADHDの「脳接続」はどう違うのか?

ASDとADHDは最もよく知られた神経発達障害であり、それぞれ世界人口の約1~3%と5~7%に影響を及ぼしていると推定されています。

ASDと診断された人々は、社会的なコミュニケーションの困難、反復的な行動、光や音などの感覚刺激への過敏さといった特徴を示します。

一方で、ADHDと診断された人々は、多動性、衝動性、不注意の傾向が強く、長時間にわたって注意を集中することが困難です。

ADHDとASDはしばしば併存して発症し、これまでにも研究が数多く行われてきましたが、それぞれの神経生物学的な基盤の共通点や相違点については、いまだ十分には解明されていません。

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Credit: canva

そこで研究チームは今回、6歳から19歳までの児童・青少年1万2732人分のデータを用いて、ASDやADHDと診断された人々の脳活動を比較しました。

対象となった脳領域には、感覚・運動信号の中継を担う「視床(ししょう)」、運動や学習に関与する「被殻(ひかくputamen)」、さらに注意、感情、自己認識などをつかさどる複数の神経ネットワークが含まれています。

そしてデータ分析の結果、興味深いことに、ASDではこれらの脳領域やネットワーク間の結びつきが弱まる傾向が見られたのに対し、ADHDでは同じ領域・ネットワーク間で結びつきが強くなる傾向が確認されました。

つまり、ASDでは「接続の弱さ」が、ADHDでは「接続の強さ」が、それぞれの脳に特徴的なサインとなって表れていたのです。

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