土の誕生から「生命のゆりかご」になるまで
「土」とは、大ざっぱに言えば、固形物とすき間の半々でできた混合物です。
大部分は、岩石の小さなカケラと有機物ですが、すき間は単なる「空洞」ではなく、水や気体が詰まっています。
おもな材料はこれだけですが、それですぐに土が出来上がるわけではありません。
土が「生命のゆりかご」として機能するには、一連のプロセスを経る必要があります。
土の始まりは、地表に露わになった「母岩」です。
この母岩が風化によって、小さなカケラになるまで浸食されます。風だけでなく、雨や雪、ヒョウに打たれたり、気温が上下するときの熱膨張と収縮によって、徐々にもろくなるのです。
また、生物による風化もあります。
岩肌に微生物が取りついて、腐食作用のある酸を放出。その上に、コケとして知られる「地衣類」や「藻類」ができ、浸食を加速させます。
ある実験では、地衣類や藻類があると、岩石の風化が100倍以上のスピードで進むことがわかっています。
こうして成熟してきた土には、細菌や小さな虫がたくさん集まってきます。
彼らの呼吸によって吐き出される二酸化炭素が土の粒子間にたまり、そこに雨水がしみ込むことで、二酸化炭素が溶け出し炭酸が発生。
この働きが進み、地衣類や藻類が十分な量にまで増えると、より大きな生き物(ミミズや昆虫)がやってきます。
これらの生き物が土にもぐることで有機物と鉱物が混ざり合い、すき間ができ、また彼らの分泌液で材料がくっついて安定します。
これで土の完成です。
では、完成した土には、生命を育むほかにどんな効果があるのでしょう?