アルコールは仲間と一緒に摂取するのが決まり?
宴会といえば、人が集まり、食べて、飲んで、語り合う楽しいひとときです。
しかし今回の研究によれば、こうした行動の原型は、人類の遠い祖先に遡るのかもしれません。
今回の調査は、2022年4月から7月にかけて行われました。
対象となったのは、西アフリカ・ギニアビサウ共和国にあるカンタンヘス国立公園に暮らすチンパンジーたちです。
彼らは人に慣れていない野生のチンパンジーであるため、恐がらせないように固定カメラを3カ所に設置して、定点撮影を行いました。
その結果、調査期間中に70回の食事行動が記録され、うち10回が自然発酵した果実を食べていたのです。
しかも発酵した果実を食べるときは、決まって複数頭が集まって一緒に分け合っていることが確認されました。

チンパンジーが食べ残した果実を採取して調べたところ、アルコール度数は最も高いものでも0.61%程度でした。
この濃度自体は比較的低いですが、チンパンジーたちは日々の食事の60〜85%を果実でまかなっており、その中には発酵した果実も多分に含まれています。
そのため、微量のアルコールが積み重なって、最終的にはかなりのアルコール量を摂取している可能性があるといいます。
しかしそれでも「チンパンジーが発酵果実の摂取で酔っ払うことはないだろう」と研究者は指摘しています。