寝不足の現代人
日本人の睡眠時間が足りないことは多くのメディアで日々取り上げられていて、一度は聞いたことがある人も多いことでしょう。
実際、日本人の睡眠不足による経済損失は、年間15兆円にも上るという試算結果もあります。
とはいえ、単純に睡眠時間を増やそうと言われても、寝付きの悪い人にとって睡眠時間を増やすというのは簡単なことではありません。
睡眠時間を増やそうとベッドや布団にいる時間を長くしても、寝床にいる時間に対して実際に寝ている時間が変わらなければ睡眠効率は落ちてしまい、しっかり休めた感覚が得られない上、生活のリズムを崩してしまうケースもあります。
そのため睡眠時間を増やすためには、単に時間を確保するだけではなく、自然と寝付きを良くしたり、ぐっすりと眠れる条件を探す必要があります。睡眠は運動や栄養といった他の生活習慣とも関係しているため、寝床にいる時間を無理に伸ばすのではなく、他の生活習慣にアプローチをし、結果的に睡眠が良くなることを狙った方が良い場合もあります。
今回の研究では、そういった睡眠効率に関係する生活習慣のうち、運動の可能性に着目したものです。
研究では、ニュージーランドの都市ダニーデンに居住する18~40歳の約30名を対象として、平日の17時以降の4時間に介入し、運動なし条件と運動あり条件で、それぞれ過ごしてもらいました。
このうち、運動あり条件では、基本的には座ったままで過ごしたものの、30分に1度、3分の軽い筋トレを行いました。
実際の運動内容は次のとおりです。
種目:椅子スクワット、カーフレイズ、腿上げ・脚後ろ伸ばし
時間:各20秒×3セット
一方、運動なし条件では、同じ時間帯を座ったままで過ごしました。
こういった条件の中で、手首に装着したデバイスで計測された睡眠データの結果をもとに、その効果を比べています。