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実は永遠じゃない!「ダイヤモンド」は「鉛筆の芯」に変わる運命だった (2/2)

2025.03.16 21:00:10 Sunday

前ページダイヤモンドは鉛筆の芯に変わる運命

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「ダイヤモンド」と「黒鉛」は同じ炭素なのになぜここまで違うのか?

ダイヤモンド黒鉛は、どちらも同じ炭素原子からできていますが、見た目はまったく異なります。

ダイヤモンドは透明で美しく輝きますが、黒鉛は黒く、不透明で、手にすると粉がつくこともあります。この大きな違いはどこから来るのでしょうか?

見た目については、結晶構造の光の通し方が関係しています。

ダイヤモンドが美しく輝くのは、その結晶が光を特殊な方法で扱うためです。

ダイヤモンドの結晶構造は、光が一定の角度より浅く当たると内部で反射し続ける「全反射」を引き起こしやすい作りになっています。 特に、カットされたダイヤモンドの内部では、この全反射が繰り返されることで光が逃げにくくなり、強いきらめきを放つのです。

また光は色ごとに屈折の度合いが異なるため、ダイヤモンドを通過した光はプリズムのように色が分かれやすくなります。

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こうした2つの特性が、ダイヤモンドをただ透明なだけでなく、複雑な虹色に強い輝いているように見せる理由です。

一方、黒鉛は層状の構造を持ち、各層の間では電子が自由に動ける構造をしています。そのため光を吸収しやすく、不透明で黒くなるのです。

この結晶構造の違いは、ダイヤモンドと黒鉛の手触りや硬さにも影響を与えています。

特に、ダイヤモンドには「硬さ」と「脆さ」という一見矛盾するような性質があります。

ダイヤモンドは、炭素原子が三次元的に強固に結びついた「共有結合結晶」となっており、天然物質の中で最も硬いとされています。このため、外部からの摩耗や擦れに対して非常に強く、他の鉱物や金属を容易に傷つけることができます。

そのため、他の宝石の加工や工業用途で利用されることもあります。

しかし、ダイヤモンドの結晶構造は特定の方向に沿って結びつきが弱く、衝撃が加わるとその面で簡単に割れてしまうという丈夫さとはまったく逆の性質もあります。

この性質を『劈開(へきかい)』と呼びます。ダイヤモンドは全方向に均等に強いわけではなく、特定の方向には意外なほど脆いのです。

例えば、ハンマーで強く叩いた場合や、急激な温度変化による熱衝撃を受けた場合、ダイヤモンドが粉々に砕けることもあります。

一方、黒鉛は炭素原子が平面状に並び、それぞれの層が弱いファンデルワールス力で結びついています。

このため、黒鉛は層ごとに滑りやすくなっており、手でこすると粉がつくほどです。

炭素の結晶構造。層状になっていって層ごとの結びつきは弱い。/Credit:Wikimedia Commons

これがダイヤモンドは美しく、黒鉛は汚いという印象を人に抱かせてしまうのです。

これだけ人の目には大きな違いがあるダイヤモンドと黒鉛ですが、全ては同じ元素の結晶構造の違いであり、地表で安定しているのは黒鉛の方です。

そのためダイヤモンドは、最後は地表で黒鉛に変わってしまうのです。

どのくらいの時間でダイヤモンドは鉛筆の芯に変わるのか?

では、最終的にどのくらいの時間をかけてダイヤモンドから黒鉛への変化は起こるのでしょうか。

それは、私たちが生きている間には決して目に見えるものではなく、数百万年、あるいは数億年というスケールで、ゆっくりとその輝きを失いながら黒鉛へと変化していくのです。

そのため人間の一生というスケールで考えた場合、婚約指輪として永遠の誓いの象徴にするのは間違っていないのかもしれません。

しかしダイヤモンドが変化するまでには気の遠くなるような時間がかかりますが、「この美しい宝石がゆっくりと鉛筆の芯になっていく」と想像すると、科学のロマンを感じずにはいられません。

数億年後に、このダイヤモンドはどんな姿になっているのか。

そんな未来に思いを馳せるのも、また一興かもしれません。

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