生肉とは化学的にどういう状態なのか?
生肉は主に水分、タンパク質、脂肪、ミオグロビンから成り立ち、その構造が肉の質感や見た目、風味に影響を与えています。
特にミオグロビンは、酸素を一時的に蓄える役割を持つタンパク質で、肉の色に直接影響します。
肉にはまた、様々な酵素も含まれており、これらが時間とともに反応を引き起こし、肉質の変化をもたらします。
さらに加熱すると、タンパク質の構造が変化して筋繊維が収縮し、水分が押し出されると同時に、脂肪が溶け出して肉に風味とジューシーさが加わります。
また、この過程である化学反応が起こり、外側に香ばしい焼き色と風味をもたらすため、焼きあがった肉はカリッと香ばしく仕上がります。
ミオグロビンがもたらす生肉の色の変化
生肉の色は新鮮さの指標とされることが多いですが、その色は肉内部での化学反応に大きく影響されています。
したがって、見た目だけでは本当の新鮮さを判断するのは難しいのです。
肉の色は、筋肉に含まれるミオグロビンというタンパク質が酸素とどれくらい結びついているかによって変わります。
例えば、屠畜したばかりの肉に含まれるミオグロビンは酸素と結びついていない状態で、これをデオキシミオグロビンといいます。
この状態の肉は、少し紫がかった赤色をしています。
新鮮な肉でも、紫色だとちょっと不安に感じるかもしれませんね。
時間が経つと、肉が空気に触れることでミオグロビンが酸素と結びつき、オキシミオグロビンという鮮やかな赤色の状態になります。
これがスーパーでよく目にする「新鮮に見える」肉の色です。
さらに、時間が経ち酸化が進むと、ミオグロビンはメトミオグロビンに変わり、茶色や灰色に変色します。
この色を見ると「もう食べられないのでは?」と思うかもしれませんが、単に酸化が進んだだけです。
しかし、腐敗まで進んでいる場合もあるので、茶色や灰色の肉を食べるなら注意が必要です。
また、真空パックされた肉は酸素に触れないため、紫がかった色を保っていますが、これも十分新鮮な状態です。
加工や包装の際には、発色を良く見せるために酸素を加え、鮮やかな赤色にすることもあります。
つまり、新鮮さを見極めるには色だけではなく、保存状態や消費期限を確認することが大事です。