1000回の修復実証と「ゆっくり衰える」回復力
今回の研究で特筆すべきは、修復の「回数」を徹底的に検証した点です。
研究チームは50ミリメートルの層間剥離を人工的に作り、引張負荷で破壊させ、その後に電気加熱で修復するという工程を自動化しました。
この破壊と修復のサイクルを、40日間にわたり連続で1000回繰り返したのです。
これは従来の自己修復材料の記録を一桁上回る規模です。
性能の推移も詳細に測定されました。
初期段階では、自己修復後の破壊抵抗は非修復型複合材料の175%に達しました。
つまり、もともとの材料よりも高い耐性を示したのです。
その後、繰り返し修復を重ねると性能は徐々に低下し、1000回後には約60%まで下がりました。
なぜ回復力は落ちるのでしょうか。
論文では、主に二つの要因が挙げられています。
一つは、繰り返し破壊により繊維が微細に砕け、その破片が溶融した修復剤内に蓄積することです。
これが再接着面を物理的に妨げます。
もう一つは化学的な相互作用が徐々に弱まることが原因であり、物理的損傷と化学的変化の両方が影響していると考えられます。
ただし重要なのは、回復率が無秩序に低下するのではなく、ある程度決まったパターンに従って変化している点です。
研究チームは、材料のばらつきを表現する統計モデルを使って計算。
その結果、回復率はゆっくり下がっていくものの、長い目で見ると40%以上の力を保ったまま落ち着く可能性が高いと予測されています。
つまり、完全に修復能力がゼロになるのではなく、長期的にも一定の自己修復機能が残り続けるという見通しです。
そしてこれらの結果を実社会に当てはめると、四半期ごとに修復を行えば125年以上、年1回の修復であれば約500年にわたり層間破壊への対処が可能と推定されました。
ここでの125年や500年という数字は、今回の実験データとモデルにもとづく理論的な見積もりであり、実際に数百年待ったわけではありません。
それでも従来のFRP設計寿命である15~40年を大きく上回る可能性を示しています。
研究者らは、こうした長期的な化学・物理メカニズムをより詳しく理解し、モデル化していくことが今後の課題だと述べています。



























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