頭突きする動物は脳損傷から守られているのか?
「外傷性脳損傷(略称:TBI)」は、頭部に衝撃が加わることで起こる脳損傷です。
重症な場合は、認知機能や人格に大きな変化が生じたり、身体が麻痺したりします。
また軽度の外傷性脳損傷を繰り返し受けることで、数年たった後に認知症のような症状の「慢性外傷性脳症(略称:CTE)」を発症する場合もあります。
私たちヒトは、交通事故や過激なスポーツ(ボクシング・アメフト・アイスホッケーなど)によって、これらを患うことが多いと言われています。
ところが「頭突きで戦う動物たちは脳に損傷を負わない」という通説があります。
例えばジャコウウシは、オス同士が頭突きしながら角を突き合わせて激しく争います。
突進時の速度は時速50km以上になることもあるのだとか。
それでも「頭突きする動物の脳は頭突きに耐える特別製であり、損傷しない」と考えらえてきました。
とはいえ、いくつかの研究では、ジャコウウシがボーっとしているなど、外傷性脳損傷の症状が見られるという報告も提出されています。
そこでアッカーマンズ氏ら研究チームは、これまで行われてこなかった頭突き動物の脳の直接検証を行うことにしました。
頭突き動物の脳はどのような状態になっているのでしょうか?