寿命100年を超える「ホライモリ」ってどんな生き物?
ホライモリ(学名:Proteus anguinus)は、ウーパールーパーと同じ有尾類に属する両生類です。
バルカン半島を中心とした地下の泉や洞窟の水路に生息しており、全身は白く、目は皮膚の下に埋もれており、まるで水中に漂う幽霊のような姿をしています。
この生物は、非常に特殊な環境に適応して進化してきました。
洞窟内は昼夜の変化がなく、気温も一定、栄養も極端に乏しい世界です。

そんな厳しい環境に順応するために、ホライモリは「動かないこと」を極めたのです。
ホライモリの代謝は非常に低く、数年間まったく食べなくても死にません。
繁殖も非常にゆっくりで、生殖周期はなんと12.5年に1回、寿命は100年を超えることもあります。
彼らには生き急ぐ理由がまるでないのです。
その特徴的なライフスタイルに、科学者たちは古くから注目してきました。
ホライモリの存在は数百年も前から知られていましたが、その暮らしぶりについては、主に飼育環境での観察に限られており、野生下での本当の姿は長らく謎に包まれていたのです。
そんな中、2020年にハンガリーとイギリスの研究チームが、ボスニア・ヘルツェゴビナのゴリツァ地区の洞窟で、個体ごとにタグを付けて長期的な追跡調査を開始。
そこで目撃されたのが、まさに信じられない「不動の生き物」の姿でした。