灰色のサメの常識を覆す「オレンジ色の個体」
今回の舞台となったのはコスタリカ北部のトルトゥゲーロ国立公園近くの海域で、スポーツフィッシング中に偶然発見されました。
そのサメは「コモリザメ(Ginglymostoma cirratum)」と呼ばれる種で、通常は褐色から灰色がかった地味な色をしています。

しかしこの個体は全身が鮮やかな黄色からオレンジ色に染まっており、釣り上げられた瞬間から現地の人々を驚かせました。
体長は約2メートル、水深37メートルの場所で捕獲され、その後すぐに放流されています。
ブラジル・リオグランデ連邦大学(FURG)の研究チームは、この色の原因が「キサンシズム(xanthism)」と呼ばれる遺伝的な色素異常であると報告しました。
発見されたオレンジ色のサメはこちらのFacebookページに掲載されています。
キサンシズムは本来の色素が変化し、皮膚や毛が黄色やオレンジ色に強く発色する現象で、メラニズム(黒化)やリューシズム(白変)と同じく自然界に存在する稀な色素異常です。
これまでに魚類や爬虫類、鳥類などで記録はありますが、コモリザメでの確認は史上初、さらにカリブ海でのサメ全般においても初めての例とされています。
さらにこの個体は、通常であれば黒く見えるはずの目が「白く、虹彩が目立たない」という特徴を持っていました。
研究者らは、この特徴を踏まえ「単なるキサンシズムではなく、アルビノとキサンシズムが同時に現れた可能性が高い」と指摘しています。
サメのような軟骨魚類で、このような色素異常が確認されるのは極めて珍しいことです。