オレンジ色は生存に不利になっているのか?
色素異常はしばしば動物に不利に働くことが知られています。
目立ちすぎる色は捕食者に発見されやすく、生存率が下がる可能性があるからです。
特にサメのように隠密性を活かして狩りを行う生物にとっては、周囲に溶け込めない派手な色は不利になると考えられます。
ところが今回見つかったコモリザメは、すでに成体サイズに達していました。
コモリザメは中位の捕食者にあたり、小魚や貝類、甲殻類を捕食して暮らしています。
研究者たちは「この個体の成長ぶりを見る限り、色素異常は少なくとも致命的な影響を与えていない」と結論づけました。
ただし、なぜこのような色素異常が起きたのかについてはまだ完全には解明されていません。
遺伝的な要因が基本であると考えられていますが、研究者らは「近親交配、環境ストレス、水温の上昇、ホルモンバランスの乱れなども関与している可能性がある」と指摘しています。
近年の海洋環境の変化がこうした希少な色素異常を引き起こしているのか、それとも単なる自然な遺伝変異なのか、今後さらなる研究が必要です。