犯人は野生のオオカミだった
この行動が初めて疑われたのは2023年のことです。
現地の先住民族であるハイルツァク(Haíɫzaqv)は、外来種ヨーロッパミドリガニの増殖を抑えるため、ニシンやアシカ肉を餌にした「カニかご」を沿岸に多数設置していました。
ところが、しばらくするとカニかごが破壊され、餌が消えるという異常事態が頻発したのです。
しかも、いくつかのカゴは満潮時でも完全に水没したままの深い場所にあり、人間以外でそんな場所を荒らせる動物は限られていました。
当初の容疑者は、アザラシかカワウソといった水生の哺乳類が疑われていました。
しかし2024年5月下旬、犯人を突き止めるためにカメラを設置したところ、思いもよらない姿が映っていたのです。
それがこちら。
映像には、1頭のメスのオオカミが海へ泳ぎ出し、浮かぶブイをくわえて岸に引き寄せる様子が映っていました。
オオカミはブイを浜に置くと、慣れた様子で「ロープ → かご → 餌」という“つながり”を理解しているかのように、ロープを繰り返し引っ張り続けました。
そして、海中からトラップが姿を現すと、迷いなく餌のカップを狙い、中身を飲み込んだのです。
一連の作業はわずか3分ほどで完了していたといいます。
研究チームはこの様子について、「オオカミが、ブイ・ロープ・海中の罠の関係を複数ステップで理解しているように見える」
と驚きを隠せません。
2025年2月には、別のオオカミが“半ば水没したトラップ”をロープで引き寄せる映像も撮影され、複数個体がこの行動を学習している可能性も示唆されています。

























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