腐肉食動物の36%は減少または絶滅の危機にある
腐肉食動物とは、死んだ動物の肉(腐肉)を主に食べる生物群のことを指します。
ハゲワシやハイエナのような専門性の高い「腐肉食動物」から、ネズミやアライグマのような雑食性の中型・小型動物まで、幅広い種類が含まれます。
死骸を食べるという習性から、人間には嫌われる傾向がありますが、彼らの存在は人間にどんな影響を及ぼしているのでしょうか。
研究チームは、1376種の腐肉食動物(脊椎動物)を調査対象とし、その生態、絶滅リスク、生息域の変化などを、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストや既存の生態学データベースを用いて詳細に分析しました。

その結果、世界の腐肉食動物のうち、実に36%が絶滅の危機に瀕しているか、個体数が減少していることが明らかになりました。
特に、ハゲワシやハイエナのような大型もしくは専門性の高い腐肉食動物は、他の種に比べて圧倒的に高い割合で減少していることが判明したのです。
彼らの減少は、都市化や農地拡大による生息地の喪失、毛皮や漢方薬を目的とした違法取引や密猟が原因だと考えられています。
また、「家畜を襲う」「汚い動物」という偏見・誤解から、駆除対象となることも原因の1つです。
一方で、ネズミや野良犬、アライグマなどの中型・小型動物は、個体数は増加しています。
ハゲワシやハイエナがいなくなることで、小さな腐肉食動物たちは食事にありつける確率が高くなっているのでしょう。
では、こうした腐肉食動物の個体数の変化は、どんな影響を及ぼしているのでしょうか。