研究者「カバは危険すぎて調査が難しい」
カバは大型だと体重2トンを超える巨大な哺乳類です。
アフリカを原産地とするので、私たちが野生のカバを見る機会はそうありません。
動物園で会えるカバは大抵、水の中にプカプカ浮かんでいるだけなので、とても温厚そうに見えますよね。
しかし野生のカバは予想以上にキレッキレで、現地の人々が最も恐れる動物の代表格となっています。
でっぷりとした体格に似合わず、陸上での走るスピードは時速30キロに達し、水中だと時速60キロで移動できるのです。
「え、水中の方が速いの?」と思われるかもしれませんが、水の中だと浮力で体が軽くなりますし、水底を蹴って強い推進力を得られるので、水中の方が速く移動できるのです。
原チャリと同じくらいのスピードですから、カバに目をつけられると生身の人では絶対に逃げ切れません。
ですから現地のガイドさんたちもカバには絶対に近づかないように注意しています。
実際、カバに近づきすぎてボートが転覆させられたり、約1トンの力でカバに噛まれて死亡したケースも起きています。
こうした危険性ゆえに、カバの生態を詳しく調べることはとても難しいものでした。
研究主任のジョン・ハッチンソン(John Hutchinson)氏も「彼らは信じられないほど危険なため、研究対象とするのが困難で、これまで生態調査を進めるのに苦労してきました」と話します。
特にカバは日中の多くを水の中で過ごすので、陸上でどのように走るのか、そのメカニズムがよくわかっていなかったのです。
そこでハッチンソン氏らはカバの陸上での走りを細かく観察する調査をスタートしました。