捕食者が少ない環境にいるカエルのほうが逃げる能力が高いと判明!
捕食者が少ない環境にいるカエルのほうが逃げる能力が高いと判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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捕食者が少ない環境にいるカエルのほうが逃げる能力が高いと判明!

2022.08.25 Thursday

矛盾に思える事実がカエルたちの生存を支えていました。

スイスのチューリッヒ大学(UZH)と中国西師範大学が共同で行った研究によって、カエルの脳の大きさはカモフラージュ能力の高さと逆相関の関係にあることが示されました。

またカエルたちの脳の大きさとジャンプ力を周辺の捕食者の数(捕食圧)と比較したところ、捕食者が少ない環境にいるカエルたちのほうが、危険を察知するための大きな脳と素早く逃げるための筋肉質な後肢といった逃げるための戦略に依存しているという、直感に反する結果も得られました。

いったいどうして脳の大きさとカモフラージュ能力が逆相関したり、捕食者がいない環境にいるカエルたちのほうが逃げる能力が高いといった奇妙な結果になったのでしょうか?

研究内容の詳細は2022年8月17日に『Science Advances』にて公開されています。

Frogs Use Brains or Camouflage to Evade Predators https://www.news.uzh.ch/en/articles/media/2022/Frogs.html
Cognition contra camouflage: How the brain mediates predator-driven crypsis evolution https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abq1878

生存戦略には常に代償が付きまとう

生存戦略には常に代償が付きまとう
生存戦略には常に代償が付きまとう / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

進化を通じて、弱い動物たちは捕食者を回避するためにさまざまな戦略を編み出してきました。

さまざまな動物によって捕食されてしまうカエルたちもまた、厳しい生存競争を生き残るために、優れたジャンプ力や周囲の環境に溶け込むためのカモフラージュ能力を身に着けていることが知られています。

しかしどの戦略をとるにしても、多少の代償がともないます。

たとえばカエルの代名詞ともいえるジャンプですが、適切に実行するには捕食者を認識する高い認知能力と認知機能を支えるを維持するための莫大なエネルギーが必要になります。

また周囲の環境に溶け込むカモフラージュ能力も、自分の体のと異なる背景に移動することを困難にしたり、オスとメスがお互いに交尾相手を見つけることも困難にしてしまいます。

主な捕食者となるヘビの口より体のサイズを大きくすることは極めて有効な解決手段の1つであるものの、大きな体を維持するには沢山のエサが必要であり、食糧不足によって簡単に絶滅してしまうことがあります。

現在地球上には多種多様なカエルの種が存在しているのも、環境にあわせて戦略の取捨選択がおこなわれてきた結果と言えるでしょう。

ですが特定の戦略を採用することが、他の戦略の採用に対してどのように影響するかは、あまり詳しくわかっていません。

そこで今回、チューリッヒ大学と中国西師範大学の研究者たちは共同して、さまざまな環境に生息する102種のカエルたちがどのような戦略で捕食者を回避してきたかを調べ、特定の戦略の採用が他の戦略に影響を与えるかどうかを調べました。

すると意外にも、直感に反する結果が得られました。

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