生存戦略には常に代償が付きまとう
進化を通じて、弱い動物たちは捕食者を回避するためにさまざまな戦略を編み出してきました。
さまざまな動物によって捕食されてしまうカエルたちもまた、厳しい生存競争を生き残るために、優れたジャンプ力や周囲の環境に溶け込むためのカモフラージュ能力を身に着けていることが知られています。
しかしどの戦略をとるにしても、多少の代償がともないます。
たとえばカエルの代名詞ともいえるジャンプですが、適切に実行するには捕食者を認識する高い認知能力と認知機能を支える脳を維持するための莫大なエネルギーが必要になります。
また周囲の環境に溶け込むカモフラージュ能力も、自分の体の色と異なる背景に移動することを困難にしたり、オスとメスがお互いに交尾相手を見つけることも困難にしてしまいます。
主な捕食者となるヘビの口より体のサイズを大きくすることは極めて有効な解決手段の1つであるものの、大きな体を維持するには沢山のエサが必要であり、食糧不足によって簡単に絶滅してしまうことがあります。
現在地球上には多種多様なカエルの種が存在しているのも、環境にあわせて戦略の取捨選択がおこなわれてきた結果と言えるでしょう。
ですが特定の戦略を採用することが、他の戦略の採用に対してどのように影響するかは、あまり詳しくわかっていません。
そこで今回、チューリッヒ大学と中国西師範大学の研究者たちは共同して、さまざまな環境に生息する102種のカエルたちがどのような戦略で捕食者を回避してきたかを調べ、特定の戦略の採用が他の戦略に影響を与えるかどうかを調べました。
すると意外にも、直感に反する結果が得られました。