4万年前に「文字の卵」は世界に広まっていた
現生人類(ホモ・サピエンス)が登場したのは約20万年前ですが、文字の兆しが現れたのは4万年ほど前です。
今につながる文字の卵たちは、世界各地の洞窟壁画の中に見つかっています。
動物の絵のそばに、幾何学的な形やジグザグ模様、矢印、点の集まりなどが散見されました。
いわゆる、「絵文字」です。
これらの絵文字が意味するところは分かりませんが、数万年前にすでに世界各地に広まっていたのは驚きです。
また、ここには文字に通ずる興味深いヒントも隠されていました。
絵文字のいくつかは、たびたびセットになって書かれているのです。つまり、記号同士を対にして特定の意味を作っていたことを意味します。
洞窟文字のほかに知られている絵文字は、約8500年前の中国で見つかっています。
亀の甲羅や牛の骨に刻まれた「甲骨文字」です。
こちらは文字の意味も分かっており、漢字の祖先となっています。
一方で、こうした絵文字は、一定の意味をもつ文字を並べていくスタイルで、複雑な会話は記録できません。
話し言葉で言えば、「昨日・狩・出(昨日、狩りに出かけた)」のようなカタコト表現でした。
これが現在のようなスラスラ表現になったのはいつでしょうか?