意味のない「bü」だけで犬に指示を出す
犬への指示は、単語だけで成り立っているわけではありません。
私たちが「おいで」と呼ぶとき、その声には高さ、強さ、リズム、なめらかさといった情報も同時に含まれています。
では、単語を完全に取り除いた場合でも、人間は声のトーンだけで犬に意図を伝えられるのでしょうか。
この疑問を調べるため、研究チームは犬と飼い主のペアを対象にした実験を行いました。
飼い主はスクリーンの後ろに隠れ、犬が表情や身振りを手がかりにしにくい状態で、声だけを使って指示を伝えました。
そのとき使われたのは、「bü」という意味のない音節だけです。
飼い主は犬の名前や普段の命令語を使うことを禁止されており、「bü」の高さや長さ、強弱、繰り返し方だけを変えることができました。
伝える内容は4種類で、飼い主は意味のない音だけで「(こちらに)来て」「(あそこに)行って」「(こちらに)来ないで」「(あそこに)行かないで」に近いメッセージを伝えようとしました。
そして研究チームは、犬が実際に飼い主の意図どおり行動した場面の音声を抽出し、その音響的特徴を詳しく分析しました。
さらに、本当に声が影響しているかを確かめるため、飼い主が一切発声しない無音条件も用意しました。
その結果、犬は無音条件よりも発声条件で有意に多く「期待された行動」を示しました。
つまり犬は、飼い主の声に含まれる情報を手がかりに行動を変えていたと考えられます。
では犬たちは、どうして飼い主の意図を理解できたのでしょうか。

























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