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巨大化した新種の微生物/ Credit: Rensselaer Polytechnic Institute(2026)
biology

仲間を共食いする「巨大ハンター」に変身する新種生物を発見

2026.06.04 18:00:29 Thursday

もし食べ物が少なくなったとき、体を巨大化させ、仲間を丸ごとのみ込むハンターへ変身する生物がいたらどうでしょうか。

しかも、それがライオンやサメのような大型動物ではなく、たった1個の細胞からなる微生物だとしたら、生命のイメージは少し変わって見えるかもしれません。

米レンセラー工科大学(RPI)の研究チームは、カリブ海のキュラソー島で採集された新種の繊毛虫「ユープロテス・ギガトロックス(Euplotes gigatrox)」が、条件によって「超巨大体」と呼べる姿へ変化し、同じDNAを持つ仲間を捕食することを発見しました。

研究の詳細は2026年5月14日付で学術誌『Proceedings of the National Academy of Sciences』に掲載されています。

Single cell transforms into cannibalistic ‘supergiant,’ swallowing its clones whole https://phys.org/news/2026-06-cell-cannibalistic-supergiant-swallowing-clones.html When Food Runs Short, This Single-Celled Organism Turns into Giant Cannibal to Survive https://www.sci.news/biology/euplotes-gigatrox-14815.html
Regulated development of cannibalistic supergiant cells in the ciliate Euplotes gigatrox https://doi.org/10.1073/pnas.2606891123

仲間を丸ごと飲み込む「巨大ハンター」になる

今回見つかった新種、ユープロテス・ギガトロックス(Euplotes gigatrox)は、繊毛(せんもう)虫と呼ばれる単細胞の微生物です。

繊毛虫とは、体の表面にある細かな毛のような構造「繊毛」を使って移動したり餌を集めたりする生き物で、身近な例ではゾウリムシもこの仲間に含まれます。

ユープロテス属の繊毛虫は、単細胞でありながら、非常に整った体の構造を持っています。

繊毛は、水流を起こして餌を集めたり、泳いだり、地面を歩くための脚のように使われたりします。

研究チームは今回、キュラソー島の海水ろ過システムからこの新種を採集しました。

ふだんのE・ギガトロックスは、細菌などの小さな餌を水流で集めて食べる、いわば「ろ過摂食」を行っています。

ところが、クローン集団の中では、ごく一部の細胞が自発的に通常の2倍以上の長さを持つ超巨大体へと変化することがわかりました。

通常細胞の長さが平均約54マイクロメートルだったのに対し、超巨大体は平均約138マイクロメートルに達していました。

体は幅広くなり、口にあたる摂食構造も大きくなります。

そして最も奇妙なのは、食べる相手です。

超巨大体は細菌を集めて食べるのではなく、自分と同じDNAを持つ小さな仲間の上を走るように移動し、そのまま丸ごとのみ込んでしまいます。

実際の映像がこちら。音声はありません。

観察では、最大でおよそ10分に1匹のペースで仲間を捕食していました。

つまりこの微生物は、状況によって「小さな餌をこし取る細胞」から「仲間を狩る巨大な捕食者」へと、姿も食性も大きく切り替えていたのです。

次ページなぜ超巨大化は起きるのか?

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