王女たちの骨から武器使用の痕跡を探る

古代エジプトの墓には、実にさまざまなものが副葬品として納められていました。
食べ物、衣服、宝飾品、そして武器。
これらは死者が「あの世」で快適に暮らせるようにという思想に基づいています。
副葬品は、大きく2種類に分けられます。
1つ目は、飾りや儀礼の道具、権力を示す品など、死後のために特別に作られた、実用性のないものです。
2つ目は、生前に実際に使っていた私物です。
たとえば有名なツタンカーメン王の墓からは、衣服や道具、武器など、明らかに日常で使われていた品々が数多く見つかっています。
ただ、すべての副葬品がこれほど明確に仕分けできるわけではありません。
そこで今回研究チームは、骨に着目しました。
私たちの筋肉や腱は、骨の決まった場所に付着しています。
そして、ある動作を長年にわたって繰り返し、その筋肉を強く使い続けると、その付着部のまわりの骨が発達して盛り上がってくるのです。
たとえばプロのテニス選手の利き腕とそうでない腕を比較した複数の研究では、研究によって差はありますが、利き腕の側で骨の量や太さが1〜2割ほど大きい例が報告されています。
また中世イングランドの弓兵を調べた例では、弓を引く動作を繰り返した結果、本来くっつくはずだった肩の骨がくっつかないまま大人になった、と考えられる変化(肩峰離断)がみられました。
肩甲骨の先端にあたる肩の骨は、子どもの頃は軟骨に近い状態で、ふつうは18歳ごろまでに骨へと変わって一体化します。
ところが、成長期に強い弓を毎日引き続けると、その部分に絶えず力がかかり、骨がくっつく前に「動き続ける」状態になってしまうのです。
言ってみれば、弓を引き続けた青春が、そのまま骨の形として固定されてしまったようなもの。
研究者たちは、この特徴を手がかりに、射手だった可能性の高い人々を推定する手がかりを得ました。
このように骨を調べれば、その人が生前に、どの部位に、どのような負荷が繰り返しかかっていたかを推定する手がかりになります。
研究チームは、この骨の変化を調べることで、副葬品が生前に本当に使われていたものなのかを見分けようとしました。





























