OpenAIが数学の懸賞問題を解いたと発表、数学者は戸惑いと警戒
OpenAIが数学の懸賞問題を解いたと発表、数学者は戸惑いと警戒 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部
artificial-intelligence

OpenAIが数学の懸賞問題を解いたと発表、数学者は戸惑いと警戒

2026.09.14 12:30:05 Monday

徹夜で解いた問題の答えを、翌朝、隣の席の人がボタン一つで出していたら。

OpenAI は、最新の AI モデルがミレニアム懸賞問題の一つを解いたと発表しました。

ミレニアム懸賞問題は、クレイ数学研究所が2000年に出した7つの難問で、今回の問題には百万ドルの賞金が懸けられています。

今回の対象は、流体や天気の振る舞いを予測する方程式にまつわるナビエ・ストークス問題。

解き方は、ふつうの数学の問題が解かれる姿とはかけ離れていました。

1兆ドル近い企業が、自律的に作業する AI の集まり1万体を問題に向かわせ、費用は推計で千五百万ドル。

AI が人間を超える数学の力を持つ流れは、以前から見えていました。

それでも、これほど大きな問題がこれほど早く落ちたことは、数学者たちに衝撃を与えました。

セント・アンドルーズ大学のコルヴァ・ローニー=ドゥーガル教授は、3か月前の講演で AI が当面は目立つことをしないと話したばかりで、「完全に間違っていた」と語っています。

数学者たちは、何に戸惑っているのでしょうか。

‘Immature playground boasting’: Mathematicians uneasy at OpenAI’s latest scalp (The Guardian) https://www.theguardian.com/science/2026/sep/12/openai-mathematicians-millennium-prize-problem

「未熟な自慢」と「会計士の仕事」への警戒

「未熟な自慢」と「会計士の仕事」への警戒
「未熟な自慢」と「会計士の仕事」への警戒 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

難問は、数学の燃料。

ウォーリック大学のジェームズ・ロビンソン教授は、巨大テック企業が最新モデルの自慢のためにその燃料を燃やしてしまうのは腹立たしいと言い、「未熟な遊び場の自慢」と評しました。

マンチェスター大学のデービッド・シルベスター教授にとって、数学に入った理由の一つは問題を解いたときの高揚感でした。

何週間、何か月、何年と問題の周りを回り、分解し、あの手この手を試して諦めない過程がなければ、数学はまるで違うものに見えるといいます。

証明を検証する仕事も、数学者はもともと多く抱えています。

1993年のアンドリュー・ワイルズによるフェルマーの最終定理の証明も、この検証で穴が見つかり、修正に1年を要しました。

シルベスター教授は、これからは AI が量産する証明の検査に追われ、「会計士のように監査する仕事」になるのではないかと見ています。

数学者の採用は発表した論文の力で決まりますが、数か月取り組んだ問題が AI に数日で解かれかねません。

大学の宿題も、本人が解いた保証ができなくなり、教員は AI を使ってよい問題と使ってはいけない問題を分けて出さざるを得なくなりました。

次ページ人間の研究を「学習した」疑いと、残る楽しさ

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

AI・人工知能のニュースartificial-intelligence news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!