なぜ超巨大化は起きるのか?
この変化は、単に体が大きくなっただけではありません。
通常のE・ギガトロックスは、表面を歩くように移動するだけでなく、液体中ではらせん状の軌道を描いて泳ぐことができます。
しかし超巨大体は、ほとんど泳がず、主に表面を歩いて移動します。
しかもその動きは円を描くような軌跡になり、表面をはい回る獲物を探すのに向いた行動へ変化していました。
一方で、表面から引き離されると、超巨大体は通常細胞のように滑らかには泳げず、不器用に転がるような動きになりました。
これは、超巨大化が「狩りに強くなる代わりに、泳ぐ能力を失う」トレードオフであることを示しています。
では、なぜE・ギガトロックスは仲間を食べる巨大細胞へと変身するのでしょうか。
チームの観察から、この変化は単純に「餌が完全になくなったから起きるものではない」と考えられています。
超巨大体が現れやすかったのは、集団が急速に増える時期を終え、小さな餌がいつもより不足する状態へ移るタイミングでした。
つまり、細菌などの小さな餌だけに頼るには条件が悪くなり始めたとき、集団のごく一部の細胞が別の生存戦略へ切り替えるようです。
その戦略が、通常サイズの仲間を「大きな餌」として利用することでした。
ただし、すべての細胞が一斉に巨大化するわけではありません。
超巨大体は集団の約5%を超えず、ごく少数だけが巨大化します。
これは、集団全体としては通常の増殖を続けながら、一部だけが別の資源を利用する「リスク分散」のような仕組みだと考えられます。
今回の新種の発見は、単細胞生物であっても、環境や内部状態に応じて、形、動き、食性などをまとめて切り替えられることを示しています。
仲間を食べる巨大細胞という一見ホラー映画のような現象は、生命が1個の細胞だけでどこまで柔軟になれるのかを教えてくれる、新しい窓なのです。

























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