テッポウエビの腕はショックキャノンだった
テッポウエビは生まれながら遠距離攻撃能力は、その巨大なハサミに依存しています。
ハサミの胴体部分の内部は筋肉がギッシリとつまっており、収縮と伸長を組み合わせることで先端部を時速115キロメートルもの高速で閉じることができるのです。
この異常な速度が水中で発揮されると、周囲の水圧が瞬間的に低下して、水中に無数の小さな気泡(キャビテーションバブル)が生じ、膨らんでいきます。
しかしこの気泡の内部は超低圧であり、膨張しきった後は周囲の水を勢いよく巻き込んで急激に崩壊していきます。
このとき、崩壊する水泡の温度は太陽の表面に近い4400℃にも達し、高温のため水の分子は水素と酸素に分離したプラズマ状態になり発光します。
テッポウエビの爪は、この泡の崩壊によって生じる衝撃波を前方に飛ばために最適な形をしており、狙った方向に撃ちだすことができるのです。
衝撃波砲は射程こそ短いものの、テッポウエビが狙う小型の魚やカニにとっては致命的な一撃となります。
しかし強力な武器は、自身を滅ぼす力にもなるでしょう。
核を手にした人類が戦争で使わずにはいられなかったように、テッポウエビの衝撃波砲の矛先も縄張りをかけた同族との戦争に投じられました。