第二次大戦の氷の軍艦計画から生まれた「スーパー氷」、極地や宇宙の建材をめざす
第二次大戦の氷の軍艦計画から生まれた「スーパー氷」、極地や宇宙の建材をめざす / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部
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「スーパー氷」、第二次大戦の氷の軍艦計画から生まれた――極地や宇宙の建材をめざす (2/2)

2026.09.17 17:51:52 Thursday

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魚のタンパク質を「のり」にして、繊維を氷につなぐ

魚のタンパク質を「のり」にして、繊維を氷につなぐ
魚のタンパク質を「のり」にして、繊維を氷につなぐ / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

研究チームが「のり」に選んだのは、魚が持つ、にくっつくタンパク質です。

遺伝子を組み換えて、炭水化物(セルロースもこの仲間)にもくっつく部品を付け足しました。

氷にも繊維にも、両方にくっつく。

このタンパク質を、セルロースのナノ粒子(目に見えないほど細かい粒)を散らした液に混ぜ、凍らせました。

すると、氷の中にしなやかな分子の骨組みができ、引っ張ったときの強さが大きく上がりました。

研究を率いた生化学者、イド・ブラスラフスキー氏の言葉です。

「繊維を氷に混ぜるだけで終わらせず、材料同士が分子のレベルでどうつながるかを操りたかったのです」

変わったのは、強さだけではありません。

急に砕ける代わりに、ずっと多くのエネルギーを受け止めながら、少しずつ形を変えるようになりました。

円柱の試験片で測ったのが、冒頭の70倍という数字です。

この結果は、有望な概念実証(考えが成り立つことを示す実験)と位置づけられています。

北極や南極で使う材料の候補として、評価する価値があるとされています。

持続可能な建材が求められる中で、氷を建材にする考えへの関心も再び高まっています。

ナゾロジーでは以前、廃コンクリートと二酸化炭素から新しい建材を作る研究を紹介しました(廃コンクリートとCO2でつくる新しい建材が開発される)。

ただし、この試験は実験室で作った円柱の試験片で行われたものです。

極地の建物に使えるかどうかは、これから評価する段階です。

のりのタンパク質を作るのは、遺伝子を組み換えた細菌。

試験片の分なら足りても、小さな建物ひとつ分となると、二酸化炭素を出さずに細菌を育てる大きな設備が要ります。

一方で言えるのは、繊維をただ混ぜるのではなく分子のつながりを設計すれば、氷の強さと壊れ方を変えられるということです。

「氷は割れやすい」という当たり前が、繊維のつなぎ方ひとつで変わりうると、小さな円柱が示しました。

氷山を空母にする話は立ち消えましたが、氷を建材にする話は、まだ凍り付いてはいないようです。

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