自制心とは気持ちを我慢することだけではない

自制心と聞くと、お菓子を食べたい気持ちをぐっと我慢する場面が浮かびます。
けれども、いつもの反応をいったん止めて、うまくいく行動を選び直すことも、その大切な一面です。
たとえば人間でも押しても開かないドアを、ついもう一度押してしまったり、さらには体当たりをするなどエスカレートすることもありますが、そうした行動にブレーキをかけて、別の動きを選ぶのも立派な自制心なのです。
心理学では、こうした働きを「抑制制御」と呼びます。
ただし、賢い動物だからといって、この能力まで優れているとは限りません。
実際、以前の研究では、餌の隠し場所を変え、元の場所を選ぶ反応を抑えられるかを調べたところ、アジアゾウの成績は振るいませんでした。
脳の大きさのわりに、自制心が弱いように見えるという、意外な結果だったのです。
ただ、その課題では視覚を重視する設計で嗅覚や触覚などを重視するゾウに、課題が十分に合っていなかった可能性がありました。
そこで今回使ったのが、目標との間に透明な障害物を置く「迂回課題」です。
餌の取り方を覚えていても、目の前においしそうなものが見えると、ついまっすぐ手を伸ばしてしまうかもしれません。
その反応を抑え、回り道ができるかを見るのです。
今回、シドニー・ホープ氏らが調べたのは、タイの国立ゾウ研究所で暮らす4〜60歳のアジアゾウ16頭です。






















