ゾウが実験で見せた「自制心」は一部の人間よりも優れているかもしれない
ゾウが実験で見せた「自制心」は一部の人間よりも優れているかもしれない / Credit:Canva
animals plants

ゾウが実験で見せた「自制心」は一部の人間よりも優れているかもしれない (2/2)

2026.09.14 20:10:35 Monday

前ページ自制心とは気持ちを我慢することだけではない

<

1

2

>

ゾウの自制心を、長い鼻で試す

ゾウの自制心を、長い鼻で試す
ゾウの自制心を、長い鼻で試す / Credit:Canva

調査に当たって用意したのは、一つの面だけに入口をあけた箱です。

内部には果物が入れられており、入り口から鼻を入れることでとることができます。

研究者たちはまず、中の見えない箱を使い、箱の中の果物を取るには、正面からではなく、鼻を別の面の入口へ回す必要があることを覚えてもらいました。

そのうえで、今度は箱を透明にし、中の果物が丸見えの状態にしました。

研究チームは、目の前に餌が見えれば、つい正面から鼻を伸ばしてしまうのではないかと考えました。

ところが、箱が透明になっても、入口に鼻を入れるまでの時間に明確な違いは見られませんでした。

餌が見えていても、覚えた通りに鼻を入口へ回したのです。

ただこの段階では、餌に向かう衝動がそもそも生じず、慣れた動きを繰り返しただけだとも考えられます。

そこで次に研究者たちは透明な箱を回転させ、入口の場所を変えました。

たとえば、右から鼻を入れれば取れていた餌が、今度は左からでないと取れなくなります。

餌も箱も同じですが、成功する鼻の動かし方が変わる仕掛けです。

すると、入口を変えた直後には、箱に触れてから鼻を入れるまでの平均時間が約2.2秒から約8.2秒へと延びました。

研究チームは、この遅れを、以前の「正解」あるいは「慣れた動き」に向かおうとする反応の表れだとみています。

しかし、同じ入口で課題を繰り返すと、かかる時間は短くなりました。

研究チームは、ゾウが以前うまくいった動きを抑え、新しい取り方へ柔軟に切り替えた証拠だと解釈しています。

さらに、入口の位置を毎回変える課題でも、箱に触れてから鼻先を「正解」の入り口に入れるまで、平均約4.5秒で対応できました。

固定した正解を繰り返すだけでは解けない場面にも、素早く対応していたのです。

うまくいかなくなった習慣をやめることは、人間でも簡単ではありません。

たとえば2018年に発表された人間を対象にした別の研究では、参加者が自宅の鍵とダミーの鍵に色違いのカバーをつけ、数週間生活しました。

その後、カバーを入れ替えると、鍵を選ぶ際の間違いや手間、かかる時間が増えたと参加者が報告しました。

ゾウの賢さは、長い鼻をどう動かすかだけでなく、「いつもの動かし方をやめる」という自制心にも表れているようです。

<

1

2

>

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

0 / 1000

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!