巣を密集させている理由とは?
さらに驚くべきことに、巣は無秩序に並んでいたわけではありませんでした。
チームは、密集した
・クラスター型
・三日月型
・直線型
・楕円型
・角張ったU字型
・単独型
という6種類の配置を特定しました。

最も多かったクラスター型は全体の42.08%を占め、巣同士が接触したり、部分的に重なったりするほど密集していました。
一方、群れから離れた単独型の巣は、集団内の巣よりも大きい傾向がありました。
チームは、大型で優位な成魚ほど単独で巣を守れる可能性を挙げていますが、これは映像から導かれた仮説です。
では、なぜ多くの魚は巣を密集させるのでしょうか。
有力視されているのは、捕食者から卵を守るための集団防御です。
クラスターの中央にある巣は、外から来る捕食者との間にほかの巣が入るため、襲われる危険を下げられる可能性があります。
また、この魚のオスは自分の巣から約25センチメートルの範囲を守るとされます。
巣が密集すれば隣同士の防衛範囲が重なり、結果的に集団全体を守るような形になるかもしれません。
周辺では、卵を食べる可能性のあるクモヒトデや、化学物質を感知して獲物を探す捕食性のヒモムシも確認されました。
多数の巣が集まれば卵のにおいが混ざり、捕食者が1つの巣を狙いにくくなる可能性もあります。
ただし、魚が協力して敵を追い払う場面や、配置によって捕食率が下がることは直接確認されていません。
南極の海底に築かれていた「魚の帝国」は、単なる巣の集合ではなく、親魚たちが厳しい環境で子孫を残すために作り上げた秩序ある繁殖地なのかもしれません。
しかし、その配置が本当に共同防衛を目的とするのかは、今後の長期観察で確かめる必要があります。
この発見は、西部ウェッデル海が魚類にとって重要な繁殖地であることを示すとともに、提案されているウェッデル海海洋保護区の必要性を支える新たな証拠にもなっています。

































