この病気の薬は、一生やめられない

転んで手をついただけで手首が折れる。
くしゃみをしただけで背骨が潰れる。
骨粗鬆症が進むと、健康な骨ならびくともしない力で骨が折れるようになります(脆弱性骨折)。
50歳を超えた女性の3人に1人が、一生のうちにこの骨折を経験します。
世界では3秒に1件のペースで起きている計算です。
それだけありふれた病気でありながら、骨粗鬆症そのものを治す方法は、まだありません。
骨は、毎日少しずつ壊しては、その跡を埋め直しています。
壊す担当の細胞(破骨細胞)と、埋め直す担当の細胞(骨芽細胞)が、交代で働いているからです。
閉経して女性ホルモンが減ると、壊す担当のほうが勝ち続けるようになります。
骨は、あとから埋まらない穴だらけになっていきます。
いまの薬にできるのは、この勝ち負けを少し引き戻すことです。
壊す担当の動きを鈍らせる薬(ビスホスホネートやデノスマブ)と、埋め直す担当を励ます薬(テリパラチドなど)があり、骨が減る速さを抑えたり、骨を増やしたりできます。
ただし、どの薬も効果を保つには使い続けることが前提です。
副作用も、使うほど積み重なります。
実際、薬を使うべき女性の3割以上が、治療を受けていません。
そこで期待されてきたのが、埋め直す担当そのものを送り込む方法です。
骨の内部(骨髄)にいる幹細胞を増やして体に戻せれば、骨は自前で作り直せるはずです。
ただ既存の技術では、それを患者の骨に届けるところでつまずいていました。

























