議論ベタ&論破したがりが使う「ストローマン論法」
議論が下手な人、あるいは相手を論破したがる人がよく使うのが、「ストローマン論法」です。
ストローマンとは、英語で「藁人形」という意味。
この論法では、相手の実際の主張をそのまま検討するのではなく、内容を単純化したり、誇張したり、極端なものに置き換えたりします。
そして、自分で作り上げた攻撃しやすい主張(=藁人形)を反論し、まるで本来の意見にも勝ったかのように振る舞うのです。
たとえば、会社の会議でAさんが次のように提案したとします。
「会議中にスマートフォンの通知を切れば、話に集中しやすくなると思います」
これに対してBさんが、次のように返しました。
「つまり、社員からスマートフォンを取り上げて、一切使わせない会社にしたいということですか」
しかし、Aさんはスマートフォンそのものを禁止したいとは言っていません。
「会議中は通知を切った方がよい」と述べただけです。
Bさんはその限定的な提案を、「スマートフォンの全面禁止」という極端な主張に置き換えています。
そのうえで、「そんな厳しい規則は現実的ではない」と反論しても、Aさんの本当の提案には何も答えていません。

他にも、たとえば、Aさんが「子どもが道路で遊ぶのは危険だと思う」と話します。
これに対し、Bさんは「じゃあ、子どもを一日中家に閉じ込めておけというのですか?それはひどい」と返答します。
この場合、Aさんは「道路での遊び」を危険視しているだけなのに、Bさんは「一切の外遊びを禁止する」という極端な意見にすり替えて非難しています。
これがストローマン論法です。
みなさんの身近にも、ストローマン論法を使っている人はいませんか?
ストローマン論法が厄介なのは、相手を論破したように見えやすい点です。
元の主張よりも極端で不合理な意見を作れば、それを否定することは簡単だからです。
テレビの見すぎを減らした方がよいという意見を、「娯楽をすべて禁止するつもりか」と言い換えることもできます。
環境保護を進めるべきだという意見を、「人間の経済活動をすべて停止させたいのか」と言い換えることもできます。
このような返し方をすれば、相手の意見を簡単に非常識なものとして描けます。
しかし、そこで攻撃されているのは、相手本人の主張ではありません。
自分で作った藁人形を自分で倒しているだけなのです。
ストローマン論法を使う人は、議論を「問題を一緒に考える場」ではなく、「どちらが強いかを決める論破合戦」として捉えています。
そのため、相手の言葉の曖昧な部分を確認するよりも、攻撃に利用できる部分を探します。
相手が何を言いたかったのかよりも、どのように言い返せば、自分の意見が支持を得られるかを優先するのです。
もちろん、すべてのストローマン論法が意図的に行われるわけではありません。
相手への先入観が強かったり、感情的になっていたりすると、本人も気づかないまま主張を歪めて理解する場合があります。
だからこそ、反論する前に「この理解で合っていますか」と確認することが重要なのです。






























