自慢と謙遜では、説明がつかなかった

同僚が昇進を見送られたと打ち明けてきた日に、自分のプレゼンが上手くいった話をそのまま続けられる人は多くありません。
さっきまで誰かに話したくてたまらなかった自分の朗報は、その瞬間、行き場をなくします。
こうした出し入れは長いあいだ、「自分がどう見えるか」の問題として説明されてきました。
成功を語るのは有能に見せて評価を上げるため、伏せるのは謙虚に見せて嫌われないため。
失敗を明かすのは助けを求めたり誠実さを示したりするため、隠すのは低く見られたくないため。
一見してわかりやすい説明です。
しかし、実はこうした研究のほとんどは、話を最初に切り出す側を調べたものでした。
会話は往復するものなのに、後から返す側が何を差し出すかは、一種の盲点のように詳しく調べられていなかったのです。
そこでライス大学のエミリー・プリンスルー氏らの研究チームは、相手の結果を先に知ってしまった人が、自分の結果を差し出すか、手元にしまうかを決める、ほんの一瞬の判断を分析することにしました。
調査では健康診断の結果、就職の合否、投資の損得と場面を変えながら、9つの実験に合計8229人が参加しました。
たとえば健康診断の実験では、相手のほうから先に結果を打ち明けられる場面を想像してもらいました。
参加者には、その相手に返す言葉の候補が二つ示されました。
ひとつは「すごいね」と受け止めて終わる返事、もうひとつは「実は自分も結果が出ていて」と自分の結果まで続ける返事です。
どちらかを選ばせると答えが白か黒かになってしまうため、研究チームは二つの返事に100点を好きな配分で振り分けてもらいました。
自分の結果まで続ける返事に置いた点数が、そのまま「言いたい度」になります。
相手が良い結果を報告したとき、自分の結果も良かった人の言いたい度は70.17点でした。
ところが相手が悪い結果を報告すると、自分の結果は同じ良い知らせなのに、言いたい度は16.33点まで落ちます。
そして相手が悪い結果を報告し、自分も悪い結果だった場合には、今度は自分の悪い知らせの言いたい度が87.12点まで上がりました。
相手の一言が入った瞬間に、状況が激変していたのです。

























