傷のなめ合いでは、なかった
ここまでなら、人は相手が暗いときは自分も暗いほうへ揃えたがるのだ、という説明でも通りそうです。
ですが、それだけでは説明できませんでした。
実験において、それはジャンルの違う話でみえてきました。
相手の投資失敗談に対して自分の健康診断の悪い結果を伝える場合を想定すると、自分の言いたい度はぐっと下がりました。
暗い話でさえあれば慰めになるのなら、ジャンルが違ってもとにかく合わせるはずですが、そうではありませんでした。
ベイズビジネススクールのアイリーン・スコペリッティ教授は、つまずいたと聞かされた人が自分のつまずきを持ち出すのは「張り合うためではなく慰めるため」であり、自分だけがうまくいっていたときには、相手を嫌な気持ちにさせるくらいなら黙っていたいと考えることが多い、と説明しています。
ただし、その気づかいが届いているかどうかは別の問題です。
成功を伏せれば、気を遣われたと感じて距離を置かれることがあります。
同じ失敗を持ち出せば、張り合われたと受け取られることもあります。
論文は、こうした善意の返し方が本当に目的を果たしているのかを、次の課題に挙げています。

























